長崎大学薬学部

学部長メッセージ

薬学部長 西田 孝洋(薬剤学教授)

薬学部長 西田 孝洋
(薬剤学教授)


長崎は鎖国の江戸時代に唯一西洋に開かれていたこともあり、シーボルトらにより近代医学・薬学が伝わり、長崎出島には薬草園も作られていました。出島を見おろす佐古の丘には、1861年には日本で最初の西洋式病院である養生所(長崎大学病院の前身)や医学所(長崎大学医学部の前身)が設置されました。さらに、1865年に理化学校を意味する分析窮理所が設立されました。長崎大学薬学部は、第五高等中学校医学部薬学科として1890年に創設され、2020年には創立130周年を迎えましたが、分析窮理所がルーツと考えられています。その長い歴史の中でこれまでに、2008年にノーベル化学賞を受賞された下村 脩博士を筆頭に多くの優秀な人材を輩出してきました。

長崎医学専門学校薬学科、長崎医科大学附属薬学専門部と、大きな変遷を経た後に、被爆の大きな危機を乗り越え、本学は1949年に新制長崎大学の薬学部として発足しました。その後、大学院修士課程(1965年)、博士課程(1986年)が順次加わり、2002年に、薬学系大学院は、医学系、歯学系大学院と統合され、現在の医歯薬学総合研究科として整備されました。薬学部はこの大学院医歯薬学総合研究科につながる学部組織です。さらに、薬学の内容が急速に複雑かつ多様になり、医療現場からの高資質な薬剤師の要求に伴い、この学問的、社会的環境変化に対応するために、2006年度から、薬学部の歴史始まって以来の大改革である6年制課程が始まりました。長崎大学薬学部では臨床薬剤師と研究者・技術者の育成を基本方針として、薬学科(6年制課程:定員40名)と薬科学科(4年制課程:定員40名)を併置しています。

長崎大学は、地球の健康(プラネタリーヘルス)に関する研究や活動を通じて、地球との共生を目指しています。長崎大学薬学部では「ヒトの健康をめざして」を標語に掲げ、未知の感染症・疾患などに関する問題点を解決するために、多方面と協働するプラネタリーヘルスマインドを持った人材を輩出することを目標に、日々教育・研究に励んでいます。具体的には、チーム医療の現場で活躍でき、地域医療に貢献する薬剤師や臨床薬学研究者・教育者、高度専門薬剤師を養成するとともに、創薬等に関する高度の専門的知識を修得し、医薬品の開発や供給などを担う研究者・技術者を養成することが目標です。このような環境の下での教育の結果として、薬剤師国家試験の合格率は常に高く、多くの人材を病院薬剤部、薬局に送り出してきました。一方、薬科学科卒業生の多くは大学院に進学し、その後、大学、製薬企業、官公庁、研究所等に就職して活躍しています。

新型コロナウイルスパンデミックにより、ZoomなどのWeb会議システムを活用する遠隔授業やオンデマンドコンテンツの活用が大きく進展しました。長崎大学では、インターネットを活用する学習管理システム(LMS: Learning Management System)をベースにしたeラーニング環境が整っており、講義の予習・復習のサポートが充実しています。今後は対面を主体として、オンラインを巧みに活用するアクティブラーニングを実践していきます。一方、諸外国大学との学術交流では、オンサイトとオンラインを活用する交流による活性化を図っていきます。

未知の感染症を含め様々な疾患を克服するために、将来、医療の場で高度な臨床薬剤師として活躍したい、あるいは医薬品の創製、健康・環境および関連分野の研究者・技術者として大いに活躍し、社会に貢献したいと考えている受験生の皆さんは、自分の適性を十分考えたうえで、長崎大学薬学部の6年制・4年制課程の目的にかなう学科を選択して入学され、夢を実現されることを願っております。
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