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研究概要RESEARCH

研究背景

アミロイド仮説

アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβペプチド(Aβ)と呼ばれるペプチドが沈着することを発端として発症するという「アミロイド仮説」が提唱されています(図1)。まず、神経細胞外にAβが沈着し、その後神経細胞内にタウの蓄積が起こります。それから神経機能障害や神経変性が生じ、認知機能に障害を来してアルツハイマー病の発症となります。



抗Aβ治療戦略

Aβは、前駆体タンパク質APPからβ-、γ-セクレターゼの二段階の酵素反応によって産生されます。また、α-セクレターゼもAPPの代謝に関与しています。アルツハイマー病の治療には脳内に存在するAβを低下させることが重要です。そのため図2のように、Aβの産生抑制、分解促進、沈着抑制ならびに沈着Aβの溶解が治療戦略の標的となっています。



研究テーマ

ウイルスベクターを用いたアルツハイマー病の遺伝子治療

新規血管内投与型神経細胞発現ベクターを用いて、Aβの主要分解酵素であるネプリライシンを脳内に発現させてAβ代謝の変化を検討しています。


アルツハイマー病モデルマウスにおける脳内炎症反応の解析

アルツハイマー病患者脳には脳内で炎症反応が見られますが、この反応とネプリライシンの活性低下との相関関係について、アルツハイマー病モデルマウスを用いて調べています。


ネプリライシンおよびセクレターゼの活性調節分子の探索

ネプリライシンやセクレターゼの活性調節は、アルツハイマー病の発症や病態の進行に深く関わります。既に臨床使用されている薬剤や天然物などから、ネプリライシンやセクレターゼの活性や発現に影響を及ぼす物質を探索し、そのメカニズムを調べています。


ダウン症関連遺伝子の解析

21トリソミーとなるダウン症患者では早期からアルツハイマー病様病理が出現することが知られており、アルツハイマー病の一次原因物質Aβの前駆体タンパク質をコードするAPP遺伝子が第21番染色体に存在することが原因と考えられています。ダウン症やアルツハイマー病に関係する第21番染色体に存在するAPP遺伝子以外の遺伝子にも着目して解析しています。


アルツハイマー病のバイオマーカーの探索

アルツハイマー病は長い年月(20年以上)をかけて進行し最終的に認知機能障害が現れます。そのためできるだけ早期に診断し治療を始めることが必要と考えられます。そこで超早期にアルツハイマー病を診断する脳脊髄液および血液中のバイオマーカーの探索を行っています。


患者由来iPS細胞を用いたアルツハイマー病の病態解析

iPS細胞から神経細胞に分化させると、クローン間によってAβの産生量に違いがあることがわかっています。このような現象は、Aβのような微量な物質を測定する際、非常に重大な問題となってきます。この問題を解決するために、iPS細胞から分化させた神経細胞の効率良い純化方法を開発しています。


様々な神経疾患に関わる重要分子PRRT2によるシナプス調節機構の解析

PRRT2の機能消失変異は発作性運動誘発性舞踏アテトーゼ(PKD)や良性家族性新生児-乳児痙攣(BFNIC)、片麻痺性片頭痛(HM)を始めとする様々な神経疾患の原因になっており、PRRT2がシナプス調節において重要な役割を担うことが推定されます。そこで、それらの疾患の発症機序解明と根本的治療の基盤構築、およびシナプス分子機構の包括的理解の発展を目指して、PRRT2の機能を解析しています。


バナースペース

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