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  2. 研究内容

研究①:ストレス応答を制御する細胞内シグナル伝達機構の解明

生体はさまざまな種類や強さのストレスに対し、ある時は抵抗し、またある時は順応することでその恒常性を維持しています。そのような生体のストレス応答能は、一つ一つの細胞に備わったストレス感受機構ならびにシグナル伝達機構によって担われており、それらがうまく働かなくなると、がん、糖尿病、神経変性疾患など、さまざまな疾患の発症に至ります。本研究室では、ミトコンドリアという細胞小器官のレベルでのストレス受容・応答機構を中心に、細胞のストレス応答がどのような機構で制御されているかを研究しています。

研究②:海洋微生物抽出物ライブラリーの構築と創薬への応用

近年、新しい世代の薬として抗体などの生物製剤が注目されていますが、非常に高価であることが問題となっているため、従来通りの化合物が今後も薬として重要であることに変わりはありません。しかし、これまでに製薬企業を中心に人の手でつくられた合成化合物には物理化学的な多様性が限られているという欠点がありました。そのため地球上に存在するさまざまな天然化合物があらためて注目されています。私たちは長崎県の豊富な海洋資源に着目し、県内各地より収集した海洋微生物の抽出物を創薬スクリーニングに用いることができるようにライブラリー化し、その中から新たな薬となる天然化合物を見出すことを目指しています。

AMED BINDS事業を通じてこのライブラリーを用いた創薬スクリーニング支援を行っています。興味のある方は武田(takeda-k[at]nagasaki-u.ac.jp)宛にご連絡ください。


研究③:底生ザメを用いた新規抗体製剤の開発

近年、抗体製剤は新薬開発の中心の1つとなっています。従来の抗体製剤は重鎖と軽鎖からなり、その抗原認識部位は二量体で働きます。そのため、抗体製剤は哺乳類由来の培養細胞を用いて製造する必要があり、非常に高価となります。それに対して、ラクダ科動物には重鎖のみからなる特殊な重鎖抗体が存在し、その抗原認識部位は単量体で働くことができます。このような特性を活かして、遺伝子組換え技術によって作製された重鎖抗体の抗原認識部位は「ナノボディ」と呼ばれ、大腸菌で安価に作製できることから、抗体製剤としての応用研究が進められています。一方、私たちはサメにもラクダ科動物と同じような重鎖抗体があることに着目し、長崎近海で入手した小型の底生ザメを用いて新たな抗体製剤の開発を目指しています。


研究②③についてはこちらもご参照ください。

武田 弘資,竹生田 淳,谷村 進
地域特性を生かした創薬 ―長崎発の新たな薬を目指して.
化学 78(5), 66-67 (2023)
長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 生命薬科学専攻
細胞制御学分野
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