ヒト癌細胞の熱による死の形態!!

         



解説:43oC程度の温熱処理によるがん治療がある種のヒトがんの治療に有効であることが臨床経験的に知られている。しかし、熱による細胞死の機構は明確ではない。我々は、熱処理したヒト癌細胞(HT1080)でアポトーシス様の細胞核分解が起きることを発見した。温熱処理後、1時間以内に核の濃縮や分解が見られ、数時間後には、細胞致死頻度に匹敵した頻度に達する(左)。核の濃縮頻度と細胞致死頻度は、ほぼ一致する。温熱死後、数日を経る写真右に示すようなアポトーシスに典型的な核分解が見られるようになるが、この時期に一致したDNAのフラグメンテーションは全く起こらない。ヒト正常組織細胞でもこうした核の分解が細胞死の原因であるががん細胞と同じ条件の温熱処理ではほとんど観察されず、熱に抵抗性であることが判る。