長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
天然物化学研究室

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タンニンの疎水会合 (Hydrophobic Association of Tannins)




 タンニンの生物活性のいくつかは疎水会合によるものと考えられています.タンニンとタンパク質の会合も疎水会合が主な要因です.水溶液中でタンニンは相手分子の疎水性でかつ空間的スペースのある部分を認識し会合します.上の図はグラミシジンSという小さいペプチドと緑茶タンニン(EGCG)が水溶液中で位置選択的に会合していることを示すものです。プロリンと言うアミノ酸残基の部分で強く会合することが分かっています。この会合の駆動力は、疎水会合、π-π相互作用、CH-π相互作用と思われます。

 タンニンはすべてのタンパク質と会合するわけではありません.人のだ液中ではプロリンをたくさん持つPRPと呼ばれるタンパク質と優先的に結合して沈殿し,ざらざらしたいわゆる渋味
になります.もしPRPが無いと、タンニンはそのまま消化管にはいり,食物中のタンパク質の消化を阻害します.ラットは本来PRPを持ちませんが、タンニンを食べるとだ液中にPRPを誘導する能力を持っています.ハムスターはPRPを持たないのでタンニンを食べ続けると死んでしまうそうです.タンニンは植物が進化の初期(シダ植物以降)に獲得した防御物質ですが,それへの対応として草食動物が獲得したのがPRPと考えられています.

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