同窓会報第50号 目次

長薬同窓会の皆様へ (第50号)

長崎大学薬学部長 畑山 範

 長薬同窓会の皆様におかれましては益々御健勝のこととお慶び申し上げます。

 薬学教育6年制がスタートして,早くも4年が過ぎました。この教育制度改革にあたり,長崎大学薬学部は,薬剤師と創薬研究者の両者を育成することを基本方針として,創薬研究者の養成を主とする4年制課程と薬剤師養成を主とする6年制課程を併置しました。4年制課程では,この3月に最初の卒業生が出たばかりであり,そのほとんどは大学院に進学しております。一方,6年制課程では,事前実習,CBT,OSCE,そして教育の質の保証のための自己評価トライアルも何とか終え,この5月から病院と保険薬局での長期実務実習も始まっております。この新しい薬学の教育システムは,平成24年に修士課程の上に博士後期課程と6年制学部の上に博士課程が出来た時点で一応完成を迎えることになります。

 以下に,薬学部が現在取り組んでいることについて簡単に紹介させていただきます。まず,薬剤師教育に関しましては,平成19,20年度の2年間行いました概算要求事業の「離島・僻地医療に貢献できる薬剤師の養成教育プログラム」に引き続き「在宅医療と福祉に重点化した薬学と看護学の統合教育とチーム医療総合職養成の拠点形成」と題したプロジェクトが文部科学省の戦略的大学連携支援プログラム(いわゆる連携GP)に昨年度採択され,2年目を迎えているところであります。本連携事業の中で,今後益々高まる在宅医療のニーズに対応すべく,在宅医療の現場で患者が必要としている様々なケアに対応できる臨床能力を身につけた薬剤師を養成するため,長崎県立大学と長崎国際大学と連携し,薬学と看護の基礎的な知識と技能の共通化を図るチーム医療教育を展開しております。

 一方,4年制学科の創薬研究者養成教育に関しましては,長薬協会の解散を機に,その基本財産をもとに下村脩先生のお名前を冠した「長崎大学薬学部下村脩博士ノーベル化学賞顕彰記念創薬研究教育センター」を設置することが決定しました。これによって,創薬研究において世界で活躍できる人材養成の環境作りを強化します。既に下村先生から特別顧問にご就任いただくことを了承いただいております。

 最後に,この1年での主な異動について報告いたします。まず,昨年10月に衛生化学研究室に淵上剛志助教が新たに加わり,11月には,連携GP の有期雇用職員として水野恭伸准教授が着任しました。さらに,本年1月に,中村純三教授の後任として西田孝洋准教授が教授に昇任し,薬剤学研究室を主宰しております。2月には,長崎大学が推進している「地方総合大学における若手人材育成戦略」のテニュアトラック事業に関連して村松渉助教が着任し,薬品合成化学研究室の尾野村治教授と協力して創薬化学研究を行っております。3月には,昭和48年から長きにわたり研究,教育において薬学部を牽引していただいた薬品生物工学研究室の芳本忠教授が定年を迎えられ,ご退職しました。芳本先生には,学部長として薬学部の組織運営にも重責を担っていただきました。現在,摂南大学理工学部生命科学科長として研究,教育,組織運営に多忙な日々を過ごしておられます。また,3月に,薬化学研究室の袁徳其准教授が神戸学院大学に教授として転出し,4月には,麓伸太郎助教が薬剤学研究室の准教授に昇任しました。5月には,連携GP の水野恭伸准教授が辞職しましたが,6月から手嶋無限准教授が新たに連携GP 有期雇用職員として加わりました。そして,7月と8月に,薬化学研究室と分子薬理学研究室にそれぞれ大庭誠准教授と松永隼人助教が着任しました。このように,本薬学部では人事異動が活発に行われております。このことは教育と研究の活性化にとって非常に好ましいと思われます。

 以上,長崎大学薬学部の現況を簡単に述べさせて頂きましたが,同窓会の皆様には,薬学部のさらなる発展に向けて,御支援,御高配を賜りますようお願い申し上げます。


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