研究概要


 アミノ酸は、分子内にアミノ基(-NH2)とカルボキシ(ル)基(-COOH)をもつ有機化合物の総称です。例えば、人間の体の約60%は水(H2O)でできていますが、残りの半分に相当する約20%はアミノ酸(タンパク質、ペプチドの形を含む)からできています。人間の体の中にあるほとんどのアミノ酸はL-α-アミノ酸であり、この約20種類のアミノ酸からタンパク質が作られています。アルファ(α-)という意味は、カルボキシル基(-COOH)とアミノ基(-NH2)が同じ炭素原子に結合していることを表しています。また、エル(L-)という意味は、鏡像体(実像と鏡に映した鏡像が存在する)のうち、片方のものを表しています。タンパク質構成アミノ酸は、側鎖(R)の違いにより約20種類のアミノ酸が存在しています。

 我々は、L-α-アミノ酸のα位の水素原子をアルキル基にて置換した非タンパク質構成アミノ酸であるジ置換アミノ酸(α-アルキル化アミノ酸、二置換アミノ酸)とそのオリゴマーについての研究を行っています。ジ置換アミノ酸の中には、ジメチルグリシン(α-アミノイソブタン酸)、イソバリンのように微生物が産生する抗生物質の構成成分、あるいは、アミノプロパンカルボン酸のように植物中に存在し、その果実の成熟に関与する化合物も存在します。また、ジ置換アミノ酸であるL-αメチルドーパは、高血圧症の治療に現在でも用いられている医薬品です。さらに、ジ置換アミノ酸が導入された誘導体が医薬品として用いられています。

 薬化学分野では、有機合成化学により新しい光学活性な非タンパク質構成アミノ酸(ジ置換アミノ酸)を設計・合成し、そのオリゴマー(オリゴペプチド)の2次構造解析とその利用研究(不斉触媒、創薬研究)を行っています。このようなオリゴマーにするとある一定の決まった2次構造解析をとる分子はフォールドマーと呼ばれており、世界中で各種のフォールドマーが設計・合成されその応用研究がなされつつあります。

 皆さんも、薬学・有機化学を勉強し、誰も合成したことのない世界で初めての有機化合物を設計・合成して、創薬への応用研究を目指そうではありませんか。


*本研究の一部は、科学研究費補助金等の助成により行われています。

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