山口支部

吉村公一君逝く

支部長 河野 信助(昭17)

 誠に残念なことだが,吉村公一君(昭29)が病のため薬石の効なく,昨年11月30日帰らぬ人となりました。同君は山口支部にとっては常に影の支部長でした。会合のときはいつも司会役をつとめ,また会をもり立てるためには,あらゆる努力を惜しまない人でした。山口支部のみならず,長薬同窓会にとっても大切な人でした。
 吉村君は学生時代から,山口県出身の医学部学生との交流が深く,そのため山口には今でも「ザボン会」と称する親睦会があります。長崎大学医学部および薬学部出身者の会で,両者ほぼ同数です。同じ長崎の地で学んだという和やかな会であり,私も退職して山口に帰った時にはザボン会で歓迎会をしてもらいました。その時は30余名の参加者があり盛会でした。こんな会が山口にあるのも,何事にも積極的にとり組んだ吉村君のおかげだと思います。
 吉村君の生家は古くからの薬局で,日本海に近い古市(フルイチ)という町にあります。父上も長薬の大先輩(大10)であり,高齢でも元気で薬局をしておられたりで,すが,惜しくも数年前に他界されました。吉村家にお悔やみに参上したのは昨年の12月10日でした。母上はご健在で、未亡人と長男ご一家がおられました。長男は内科医で,昨年4月から研究のため,アメリカのNIHに留学中だったのです。父の病変で帰国し,その時は再びアメリカに向けて出発する直前だったのでした。その息子さんから,吉村君の病状について詳しい説明を聞きました。それによると,一昨年の手術は成功したのですが,昨年8月頃から再発の兆候があり,今度は手術の困難な場所だったようです。いずれにしても,人世のはかなさを痛感したことでした。
 生前元気だった吉村君を想うと,今でもどこからか頬笑みながら,話しかけてくる様な気がしてなりません。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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