同窓会長挨拶


市 川 正 孝 (昭33)


 長薬同窓会報第38号を発行するに当たり,会員の皆様にご挨拶を申し上げます。平成10年度は総会を長崎支部のお世話で盛大に開催し,100名を越す会員の参加を頂きました。特別企画として外国人留学生を招待,薬学部長をはじめ数名の教官スタッフの参加もあり,例年にない盛り上がりが得られたことに心から感謝している次第です。さらに全国各地で支部総会や同窓会などが多数開催されてきたとのニュースに接し,参加者も多くなる傾向がみられたようです。支部の組織力が同窓会全体を支える原動力になることは勿論のこと,不景気な時期にこそ先輩の神通力が発揮される好機ですから,新卒者や若い層の相談役を引き受けて頂きたいと願っております。
 薬剤師の専門性を高めるために,リーダーとして精進して参りましたが,少しずつその成果が見られるようになってきました。例えば,長崎大学医学部附属病院薬剤部では,私の意図を組んで,6カ月薬剤師実務研修生を全国から公募し,毎年10名以上の研修生を受け入れていますが,さらに厚生省公認の日本薬剤師研修センター認定・1年間薬剤師実務研修生の指導を引き受けるなど,多忙な薬剤師業務に加えて教育研修指導を1年中実施する過重な役割にも,苦情,弱音をはかず後輩の指導を実施しています。60年以上の歴史を歩んできた九州・山口薬学会の会頭を拝命し,さらに病院勤務薬剤師の組織である病院薬局協議会の会長も兼任しながら,日本病院薬剤師会の理事として全国版の活動にも参画して参りました。その中で,九州・山口薬学会病院薬局協議会は病院薬剤師の職能を啓蒙する学術部門の活動が不十分なため,平成11年2月27日及び28日の両日に長崎市プリンスホテルで第1回学術大会シンポジウムの発足記念大会を開催致します。最近になって,薬剤師業務が多様化し,深い専門知識を要する病棟における薬剤管理指導業務,臨床治験管理に関する薬剤師コーディネーターの役割など急速な対応が望まれ,一般社会からの期待が高まって参りました。医療チームの一員として活動することから,患者の期待に応える薬剤師独自の専門職へと発展する重要な職責がクローズアップされるようになってきたわけです。在宅医療から介護医療にまで薬剤師の役割が拡大することへの指導者養成も重要な課題です。これからの専門業務に精通するため,学ぶ機会を設定するのが私の責任であると認識して,実務研修会の開催を第1回学術大会の前日,平成11年2月26日に長崎大学医学部附属病院臨床大講義室で挙行することに致しました。九州・山口地区在住の会員各位におかれましては,是非ご参加ください。多数の応募を心から歓迎致します(別途資料を配付します)。
 平成11年度長薬同窓会総会は,近畿支部のご協力により6月19日(土)に大阪ヒルトンホテルで開催されます。会員各位の出席が,記録を破るぐらいに混雑することを期待致しております。
 前述しました日本薬剤師研修センター認定の1年間薬剤師実務研修生の応募に対して,薬学部学生が興味を示すようになり,遠藤奨学金への応募希望が増えつつあります。大変好ましいことで,薬学生が薬剤師を希望する際の実務実習の重要性に大きな関心を示してきたことを意味します。過去のように,国家試験に合格して直ちに薬剤師になってきたことに何の疑問も持たなかった時代から,本物の実力を身につけた薬剤師へと変貌しつつあることに患者志向の社会活動が支援してくれるようになってきました。
 新卒の後輩に,薬剤師として胸をはって健康管理の役割を果たすことができるように,その道を開いてやりたいものです。教育者,研究者も一丸となって医療薬学教育が産み出す薬剤師に深い理解を示して頂きたいと切望する次第です。

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